応援団員からのメッセージ
中尾卓嗣

(なかおたかつぐ)
ボランティア食と環境教育アドバイザー

感謝するこころが育つためには

  生きていく上で必要不可欠な食べもの1つをとって見ても、世界中から食べ物が輸入され、加工食品があふれ、「飽食」といわれる現代社会。食料自給率はカロリーベースで41%と先進国中最低で、日常生活と農業・漁業・林業の現場が遠く隔たってしまいました。田んぼや畑を見たことがないという子どもたちも増えています。目の前の食べものは誰がメニューを考え、誰が調理したのか。それは誰が栽培(捕獲)し、それらはどのように育ってきたのか……。人のつながり、自然のつながりが見えにくくなっていることは事実です。

「いまの子どもたちはモノの大切さを知らない・感謝の気持ちがない」とよく耳にしますが、気持ちがないのではなく感謝するところを身近に感じることができないのです。作物の栽培、食材の購入、調理などの実体験からの学びを意識した取組みを進めることと、時間的・地理的に体験ができない条件下においてはどのような取組みが可能なのか…。できないという理由を見つけるより、できることを考え取り組みましょう。
その一端をご紹介しましょう。

 日本は世界で輸出されている約1割の食料を輸入し、多くの食べ残し廃棄物を出しています。これらの多くは、これまた輸入した石油を使って焼却処分されているのです。

   地球上に住む約67億人のうち、9億6千万人の人々が飢餓に苦しみ、5秒に一人の子どもが飢餓が原因で亡くなっています。子どもたちの多くはこの事実を知らないのです。 子どもたちは実に優しい。頭が柔らかい。自分以外の者や物を思う心に満ちあふれています。その子どもたちの心に何を映すのか、それは私たち大人が早急に考えなければならないことだと思います。

   食と子育ての深いかかわり……なんでもあるこんな時代だからこそ、もう一度立ち止まって考えなければならない問題があります。

   本能で空腹を感じ、摂食で空腹は満たされ、摂取栄養素で体(脳細胞も)は作られます。しかし、「感性」で「心の空腹」を感じるのであって、胃の満腹感や栄養素ではこれを満たすことはできません。時間や経済力によって家庭でできることは違います。見た目の豪華さではなく、その状況下で子どもに向き合うことが必要なのです。栄養バランスだけで心の健康は保たれません。質素でも自分のために少しでも時間を使ってくれたことを感じることができる生活が必要なのです。

   また、「お腹がすいてもう我慢ができない」このような状態で食べる「ご飯」の美味しさ、これはご飯ができるまで「我慢した」結果の「大きな喜び」です。ジャンジャック・ルソーは「子どもを不幸にする一番確実な方法は、いつでも何でも手に入れられるようにすることである」と説いています。我慢の後の喜び、努力の後の達成の喜びも必要ではないでしょうか。

   私たちには将来の人々の権利や他の生物が地球上で生存する権利を守る責任があります。ヒトの代謝は自然界の動物と何ら変わりなく、自然を無視して生きていくこはできません。地球に優しい生き方とは、実は健康的な生き方でもあります。自然に目を向ける心は、人に目を向ける心を育み、人を大切にする心は、ものを大切にする心を育みます。何より自分を見つめ自分を大切にする心の醸成につながるのではないでしょうか。